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永久不滅の絶対ピンク!

2010年10月29日

   
 ふりそでをさがしている お嬢さんで 「ピンクはイヤ、ピンク以外のいろ」という方 けっこういます。

 その おかあさんの世代も 「ピンクいろは さんざん着せられたから・・」というピンク否定派、多いです。

 たしかに ひとむかしまえ 定番だった濃い目のピンク=ローズピンクは ぼくもいただけないと思うんですが

 ピンク系が いちばん 顔映りのいいかた、ピンクを 身にまとうだけで 顔色だけでなく 周りの雰囲気まで

 ぱあーっとあかるくしてしまうかた たくさん いらっしゃいます。

 いろは 大別して 暖色系と 寒色系に分けられますが ピンクは暖色系の代表格、肌のいろに最も近い

 色相なんですね。ピンクの似合うかたは ふしぎなことに いくつになっても ずーっとピンクです。

 年相応に落ち着いたいろを・・と意識しすぎて逆に地味すぎたことなどありませんか?

 ピンクをあたまからハデと決めつけず 透明感のあるパステルピンクや淡いさくらいろ、あるいは 

 寒色系のフジピンクなど 色相をずらしながら いろを選ばれるといいと思います。

 おとしを召されてから がぜん ピンクが似合うひと おもいのほか おおいですよ。

 そんな “絶対ピンク”の代表選手のお客さまと 偶然、ひさしぶりにバス停で出逢いました。

 「奥さま ごぶさたしております。ふくひろです!」

 「はて?うちにきてもらってたかたは もっと ポチャッとしておられましたが・・?」

 「ここ一年ほど 減量して ヤセたのですよ。」

 「 恋やつれ・・・?」

 「あはは そんないいもんだったらいいんですが残念ながらちがいます。それにしても
  奥さまと お会いできて ほんとうに うれしいです。」

 「わたしは うれしくありません。あなたと こんなトコで会って タイヘン、タイヘン!」

 終始、あかるく たのしく わらいながら お話くださった このお客さまは なんと、今年で

 八十八歳に なられます。ぼくなどより 数段 あたまの回転がはやく 周囲のひとを ぱあーっと

 あかるくしてくれる 素晴らしいかたです。いつも お着物すがたで おでかけで ほのかなピンクを
 
 身にまとい また会って おはなししたいな・・と思わせる 華のある魅力的な女性なのです。

 まさに “永久不滅の絶対ピンク!”・・・ですね!

 


 

  
   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 07:53Comments(2)色の話いろいろ

入りやすくて出やすい店~バリアフリーの呉服店~

2010年10月26日

 「呉服屋さんって なんか はいりにくいのよねぇー!」

 ・・・とよくいわれます。「ええっなんでですか?」とたずねると

 「ちょっと 敷居が高いっていうか、そんなかんじ・・」う~ん、敷居が高いといわれても・・・

 眼にみえない“敷居”があるってことでしょうねぇ・・カンナでばりばり削って“バリアフリー”にしないと・・。

 でも、具体的に なんで 入りにくいんですか?

 「外から中が みえにくいでしょ?」   あ~、それなら こたえられます。

 呉服店の店舗の造りとは昔からわざとそうしてるんですね。お買い物をしているところをあまりみられたくない、
 
 ゆったりした時間のなかで ゆっくり お買い物がしたいという お客さまも多いんです。

 最近は ドラッグストアみたいに 外から中が 見渡せる 開放的な 店舗も 増えてきました。

 「それでも、やっぱり 入りにくい・・」 わかるような気もします・・・たとえ 店内がつつぬけでも

 みえない壁というか バリアーみたいなものがあって 今イチ 一歩が 踏みこせない・・・やっぱり それは

 あつかわれている品物が それなりに高価なので コンビニや書店のように カンタンに出入りできないって

 ことなんでしょうね。 

 ココで ちょっと手前みそ・自慢、はいっちゃいますが、ふくひろの店舗の間取り・・スゴくいいんです・・!
 
 たしかに 外から中は見えず、入りにくいかもしれませんが その分 ショーウィンドウが広いんです。

 正面から左右 ふたつウィンドウがあって 左に大きめのメインウィンドウ、右にLの字・かぎかっこ状の

 なが~いウィンドウ、きものやおびを常時 十数点、多いときで 三十点ちかく 陳列しています。

 こんなにたくさんいちどにディスプレイするのは大変なんですが、お客さまにとってみればすごくいいですね!

 おみせのなかへ入らずとも ゆっくり ウィンドウショッピングを楽しめる・・吟味検討できますよね。

 ウィンドウは向かいの通りから一段 奥まってますので Lの字の通路をたどって 美術館を散策するように

 楽しく おきものを鑑賞できます。「入らずに見せる」ことに重きをおいた造りはあまりみたことないです。
 
 この間取りは 設計したぼくの父親の傑作ですね。

 えっ?それでも まだ入りにくいって?ひとつ勇気をだして店内をのぞいてください。

 “入りやすくて出やすい店”、妖怪ぬらりひょんが出没するような楽しいきものの遊び場を ふくひろは

 目指していますから・・・。

 




 

  

Posted by ふくひろ 若旦那 at 19:25Comments(0)びっくり ショーウィンドゥ

染め工房はリビングルーム?~ 荒川眞理子 先生を訪ねて~

2010年10月23日

 先日 ぼくが 所属している北九州呉服商組合青年部のメンバーで茨城県水戸市に視察にいきました。
  型絵染め作家 荒川眞理子先生 の工房を見学するためです。

 閑静な住宅街をぬけて小高い丘のうえのマンションが先生のご自宅です。

 やわらかい日差しがふりかかる あたたかい雰囲気のリビングルームで お茶をいただいてると
 先生が悪戯(いたずら)っぽく笑いました。

 「 わたしの 仕事場は “ココ” なんですよ・・・。」

 えええっ・・・と驚く一同。だって、ココはドラマの舞台にしてもいいような 感じのいい 
 ごくふつうのリビングですよ?

 しかし よくよくみれば 趣味のよい食器棚のとなりに 草木染めの染料のビン・顔料・植物染材・
 色挿しの筆・刷毛(ハケ)・絵皿・乳鉢・・などなど染色道具一式が ごく自然にすましたカオで
 日常生活にとけこむように鎮座していました。

 おとなりの和室に場をうつすと 先生は おもむろに 和箪笥(わだんす)の透き間から
 すろっするっするっと長ァァ~い木製の板を ひっぱり出しました。

 おおお・・・とのけぞる一同。反物を伸ばして貼り付け、糊置き・地染めをおこなう
 《長板ながいた》です。

 余分な染料や糊を洗い流す工程《水元みずもと》はお風呂場で大きな、たらいの中でおこなうそうです。 充分に水を通した反物は風通しのよい日にベランダで干し ゆっくり乾燥させるそうです。

 大きな染め工房でしかできないと思い込んでいた一連の工程がマンションの一室で完了して
 しまいました・・・。す・・凄い・・ぼくは感銘を受けてしまったのです・・・。

 近代的・日常的な風景のなかで 伝統工芸の灯(ひ)が絶やされず 脈々と息づき、そして
 産み出されてゆく・・・あたらしい時代と共存してゆく染織のすがたが ほのかに視えてきて
 なんだか うれしくなりました。

 荒川先生はとても気さくで明るく おはなしを聴いていて わくわくうきうき楽しくなるような
 魅力的なかたです。和箪笥のなかの思い出のお着物もみせていただきました。ニコニコ顔の先生は
 ホントにお着物が大スキなんですね。そんなヒトの作る作品がたのしくないわけありません。
 イマジネーション喚発の遊びごころ満載の作品群です。

 ふくひろのHPブログのフロントを飾っている 真っ黄色のそめおびは先生の作品です。
 うこんで染めた真性のイエローに飛びかうスカイブルーの青い鳥・・・
 
 先生のつけられた題は『とりをよぶ』・・・
・・あのあたたかいリビングルームで産まれた素晴らしい逸品です。   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 09:38Comments(0)『 キモノびと 』 探訪 

反物 くる くる 2  ~丁稚でっちのおしごと~

2010年10月19日

  反物 くる くる 回り始めた 新入社員《丁稚でっちくん》が つぎに 習うしごとは
  
  やっぱり 反物を くる くる 巻くしごと ・・・そう、 あとかたづけ でした。

  《せんぱいくん》が お客さま と 商売・商談・談笑 しているそばに ちょこんっと

  座り 散らかった 反物を 巻いて かたづける しごとです。《丁稚でっちくん》にとっては
 
  けっこう キンチョー しますよねぇ。

  お客さまの お相手は 《せんぱいくん》が しているので 《丁稚でっちくん》は ただ黙々と

  反物を 巻いてりゃいいようなもんですが、ところがどっこい そうは 問屋がおろさない・・・!

  一生懸命 ガンバッて すべての 反物を 巻き上げて ひといきついた《丁稚でっちくん》に

  《せんぱいくん》の カミナリが 落ちました。

  「こらっ お客さんの まだ 見てはる 反物まで かたづけたら あかんやろっ!」

  《丁稚でっちくん》は お客さまがまだ買うかどうか迷っている反物まで かたづけて
  
  しまったんですね。反物を巻くのに必死で 《せんぱいくん》とお客さまの やりとりをまるで

  みてなかったのです。たとえ あとかたづけの おてつだいでも いっしょに 商売の「場」に

  参加しなくちゃいけなかったんです。

  商売の「場」に参加した以上 心ここにあらずで「 あぁ 早く しごと 終わらんかなぁ・・」

  などと 思ってちゃダメなんです。いやいや・・まあ、人間ですから 「早く 帰って ビール

  飲みたいなぁ・・」と思ってもいいんですけど そのかわり 耳は そばだてて 商談のなりゆき

  を把握しなくてはいけないんです。そうやって お客さまとのやりとりの 流れ、 展開、 山場、

  を 体感して 商売のこつを すこしづつ おぼえていくんですね・・・。

  《せんぱいくん》が 《丁稚でっちくん》に カミナリを 落としたのは もっと 自分の商売を

  みて 覚えろ、勉強しろ、って ことだったんですね。

  さすが 《せんぱいくん》です。 それにしても まじめなんだけれども ちょっと 融通の

  きかない《丁稚でっちくん》、しんぱい ですねぇ・・どうなることやら・・・

   

  

   

     

   

  
  

  

    

Posted by ふくひろ 若旦那 at 19:05Comments(2)反物くるくる でっちくん

うしろ姿は“夢二”美人?~長羽織 復活談~

2010年10月18日

  十数年前 突如 長羽織が流行り始めました。それまでは コートの下に着る短い羽織が大部分
  だったんです。

  そういう流行の発信は おっとり刀で 極楽トンボな呉服屋より 最先端のお客様の方が速いん
  ですね。早速 長羽織を作って下さいという注文が舞い込んできました。あわてたのは呉服屋の
  方です。ぼく自身 当時 長い羽織なんて みたこともさわったこともありません。うちの父や
  母の世代も長羽織は扱ってないのです。そこで 知恵袋のおばあちゃんにききました。

  「うちが 女学校のころ まだ 着よったひとが おったごとあるね。」

  それはいったい西暦なん年やっ!?  それに 仕立てもただ単に長くすればいいってもんでも
  なさそうです。こんどは最長老の和裁師さんにたずねてみました。すると・・・

  「わたしが手習いの時分(十代前半か?)かろうじて縫うたことがあります。
   長羽織も もうおわりのころでした・・・。」

  そ、それだぁっ! 当時の長羽織 思い出しながら 縫ってくださいっ!!

  前下がりの調子や 裾をすぼめる加減など 細かい留意点に気をつけてもらいながら ようやく
  仕立て上がり 試着すがたを眺めて 思わず うなってしまいました・・・。

  ・・・これは、 竹久 夢二 だぁ・・・・!

  帯の太鼓で つんっ と突き出した背の山から 裾に流れ落ちるラインは 
  ほっと 実った酸漿(ほおずき)のように可憐で たおやかで 女性らしい曲線は
  竹久 夢二の 描く 美人画に そっくりでした・・・。

  ちなみに その最長老の和裁師さんは いまだ現役です。手先のしごとをなさる方は頭も気持ち
  も いつまで たっても 若々しいですね。

  長羽織は 一時の復古ブームに終わらず すっかり定着定番化しました。
  ぼくも やっぱり だいすきですねぇ・・・長羽織・・・。
  かんたんな ちりよけ感覚でも かるく羽織れるし おびの前の柄も 見てもらえる。
  羽織ひものおしゃれも楽しめるし 羽裏に 凝ってもいいですねぇ。
  逆に羽織は 室内で無理に脱がなくいいんです。(コートは入室の際、脱がなきゃいけません。)
  だから お子さんの授業参観でも教室のうしろで 羽織姿で たたずんでもいいんです。
  
  なにより、なにより、うしろ姿は “夢二”美人・・・ですから・・・。 

  

     

Posted by ふくひろ 若旦那 at 10:14Comments(2)いまどきのキモノ

ものさし、ぺちんっ!

2010年10月15日

  もんだい: たろうくんは お母さんに ものさしを とってくれる?とたのみました。
  
  お母さんは ものさしを 手にとりました。ありがとうといって たろうくんが

  ものさしのはしを 受け取ろうとすると・・・  

   ぺちんっ! ・・と ものさしで 手の甲を 叩かれました・・・。

  なぜ たろうくんは お母さんに 叱られたのでしょう?

      *   *   *   *   *   *   *   

  実は ぼくら 呉服屋は  ものさしの「さしわたし」 といって
  
  ものさしを手渡しすると とても怒られるんです。

  ものさしを 直接受け渡しをすると お互いに失礼に当たる・・・
  相手に対して敵意を示す・・・という意味があるらしいのです。

  地域差もあって おもに関西方面でよくきかれる しきたり・作法みたいな
  ものですが そんなの気にしない、そんなの知らない、というひともたくさん
  います。

  ぼくは ぺちんっ! と叱られたくちなので どうしても気になって 
  ものさしを手にすると いつも ドキドキ します。

  だから 受け渡しのときは いちど ものさしを 畳の上に置いて それから
  手にするようにしてます。(メンドクサイ・・・と思うでしょ?)

  おたがい「さしわたし」を避けようとするもの同士なら 暗黙の了解のうちに
  事(コト)はスムーズに運ぶのですが、問題は 相手が 「さしわたし」を
  知らない場合です。

  ものさしをとってくれ といわれたとき 相手が 手を出しているのに
  ぼくは わざと 相手の足元に置きます。
  えっ・・・という表情・・・そして、気まずい雰囲気・・・
  ミョーな空気が 流れてしまいます・・・。

  もうひとつのパターン。
  相手が気をきかせて 笑顔で ハイ、どうぞ・・・と、 ものさしを差し出して
  くれた場合。親切に ものさしを渡そうとしてくれているのに受け取ろうと
  しない ぼく。相手の笑顔が凍りつきます。緊張に耐えかねて ぼそり・・・

    すみません・・そこに 置いてください・・・

    は・・・? はァ・・・(なんで 受け取らんの・・?とケゲンなカオ・・・)

  またもや ミョーな空気が ただよいまくります。
  
  敵意がないことを示そうとしているのに これでは 逆に 「敵」をたくさん

  作っているのでは・・・・?と思いあぐねながらも どうしようもなく

  また ギクシャクと ものさしを やりとりする毎日です・・・。


    

Posted by ふくひろ 若旦那 at 09:41Comments(0)反物くるくる でっちくん

『色』、憶(おぼ)えてますか?

2010年10月14日

 
 ひさしぶりに 箪笥から 着物を 出して たとう紙を 開けると・・・
 
 「あれっ このキモノ、こんな色だったっけ?」
 
 こんなことってないですか? 大体は合ってはいるんだけれども 思ってたより
 濃いかったり 淡かったり 青みがかっていたり・・・

  実は 色の記憶って けっこう 曖昧(あいまい)なもの なんです。

 これは 専門のカラーコーディネーターの先生に お聞きしたのですが
 人間の「記憶色」は 若干 鮮やかになるそうです。たとえば 桜見にでかけて
 お家で思い浮かべる桜の色は 実際の 淡い白ピンクよりも 鮮明なピンクに
 変化するそうです。(個人差や年齢差はありますが)

 ぼくは ものおぼえもわるいんですが やっぱり 「いろおぼえ」もわるくて
 注文をいただいたとき 必ず 色見本か写真、雑誌を持っていくようにしています。
 そうしないと どうしても 色が ブレてしまうので。
 すこしでも「いろおぼえ」がよくなりたいなァと思うときもあったんですが・・・              
 
 あるとき ぼくの修業仲間の友人の紹介で 京都梅小路の染め工場に遊びにいきました。
 そこの社長はまだ若いんですが、仕事に誇りと情熱をもった男前。しかも気さくで、
 明るく 話してて ムチャクチャ面白いんです。
 染めの小紋を「製造」するための「秘密兵器」がたくさんあって みていてホントに
 飽きない。いろいろ探検させてもらっているとふと、小さな部屋をみつけました。
 
 内部は雑然としていて 大量の染料缶が並べられ 壁のすき間というすき間に
 細かい走り書きのメモ用紙がたくさん貼られていました。
 
 その紙片は いうなれば『色のレシピ』・・・◎△番のグリーン何gに◇#番のグレー
 何g・・・というように こと細かくびっしりと まるで化学式のように書き込まれて
 いたんです。色に対する執着・・職人の凄みを感じました。

 その染料調合室 ~色の科学研究所~ で呆然と立ち竦んでいると うしろから
 社長が わははは と笑いかけました。

 「 色なんて そんな おぼえられへんやん 」
 
 ・・・そう、『色』はそう かんたんには 憶えられないんです。
 「いろおぼえ」のよくないぼくはやっぱり色見本を持って歩くしかないみたいです。

 

 

 

   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 17:04Comments(0)色の話いろいろ

 反物 くる くる

2010年10月11日

  呉服屋さんが よく 反物を くるくる 巻いてますよね ?

  あれって どんな原理で 巻き上がっていくのか 不思議じゃないですか?

  ぼくら 丁稚(でっち:いや新入社員?)が最初に習うのが 
  あの 『反物くるくる』 でした。

  いちど 巻いてみたことがあるひとはわかると思いますが みため以上にうまく
  いかないんです。ぼくらも会社の寮に帰って毎晩練習してたのをおぼえてます。

  それでも 1~2週間もすると突如、反物が くるくると回り始めます。
  そうなると みんな、面白くなってきて 巻いたカレンダーや茶筒,海苔の缶まで                                    くるくる くるくる 回し始めます。  

  自分で回すのを 横から ゆっくり みてみると 両手の小指と薬指だけを動かし
  てるんですね。ひじや肩の力で ゆすり上げてるんではないです。
  小指と薬指で 反物の底を 掻(か)いているとゆうか、跳(は)ね上げている。
  指で はじかれ、跳ね上がった反物は 親指の根もと に当たって 転がるように
  小指のうえに 乗る・・・その一連の動作を けっこう高速で繰り返してますね。
    
  呉服屋さんか、ふつうのひとか、の区別って
  実は この 『反物 くるくる』 かもしれないですね。

  『反物 くるくる』のヒトは 呉服屋さんの疑いあり・・・!?


  

     

Posted by ふくひろ 若旦那 at 10:00Comments(2)反物くるくる でっちくん

妖怪ぬらりひょん って 知ってます?

2010年10月08日

  妖怪 ぬらりひょん って 知ってます?
  
 妖怪といっても 姿かたちは 商人風の 和服の おじいさん・・・
 『ゲゲゲの鬼太郎』では妖怪の総大将として鬼太郎と闘ったりします。

  でも 実は ぬらりひょん って 呉服屋 に出没する妖怪だったんです!

  江戸時代 当時の呉服屋は当然ながら今以上に大変なにぎわいでした。反物を
  選ぶ買い物客はもちろんですがそれ以上に 茶のみ話に花を咲かす近所の
  奥さま方、店を待ち合わせ場所に人待ちをする旦那衆、とりとめのない相談事
  を持ち込む町人方など いろんなひとでごった返していました。
  呉服屋は町の重要な社交場のひとつだったんですね。

  夕暮れどきなど にぎわいは最高潮に達し 店の者も てんてこ舞い、 
  店の なかも もォ しっちゃか めっちゃか・・・
  そんな喧騒のなか ふらりと 見知らぬ老人がひとり現われ、ちょこんと
  店先に 座っている・・・

  店の者も気にはなっているのだが なにせ この人垣、近寄ることさえできない。

  そのうち 老人は 隣に運ばれてきた茶を勝手にすすり、悠然と
  煙管(きせる)などを 吹かしはじめる始末・・・

  客足がひけて、一息ついた店の者が 店内を見渡すと あの老人も忽然と姿を消し
  ている。あの ご老体は いったい だれだったんだ・・・?

  これが 妖怪ぬらりひょん なんです。
  
  別にこれといった悪戯はしないけど ヒトが集まる所が大スキな妖怪なんですね。

  いろんなヒトがわいわい集まる社交場、遊び場、
   
  そんな ぬらりひょん が出没するような 呉服屋に なりたいですねぇ。

   


   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 19:36Comments(2)呉服なぞとふしぎ

牡丹ピンクのおび  探しています !

2010年10月06日

   牡丹ピンクの名古屋帯 探しています  通常のいわゆるピンク色ではなくて

   鮮やかな牡丹いろ ショッキングピンク  いや マジェンタ っていうんですか

   あの 強烈な 赤紫系の ピンク です。 えっ そんな色の帯なんてあるわけないって?

   そんなことないです  だって うちの みせに あったんですから 

   やはり 魅きつけあう方が さっそうと 現れて アッという間に 売れていきました。
   
   そんな強い色の帯 合わす着物があるの?と思われるかもしれませんが案外大丈夫です。

   渋めの泥染めの大島紬や 淡彩の小紋などに 抜群に合います。

   個性的なおびは 締めるだけで 一瞬で 世界を 創りあげますから・・・
   (もちろん 柄同士で ケンカさせては いけないですけど・・)

   ほかに 珍しい色では ターコイズブルーの 小千谷ちぢみが ありました。

   ターコイズは青と緑の中間色なんですが その小千谷は緑がかった青で 

   まさに 真性のターコイズブルー でした。

   麻の糸は 透明感のある えもいわれぬいい色に染まるときがあります。

   麻の繊維だからこそ あの鮮烈な色が 発現したんでしょうね。  

Posted by ふくひろ 若旦那 at 09:00Comments(0)色の話いろいろ

鯨尺(くじらじゃく)のはなし

2010年10月04日

呉服屋さんで「ゆき一尺七寸二分っ!」なんて話してるのは大工さんが使う
曲尺(かねじゃく)ではなく、鯨尺(くじらじゃく)なんです。

鯨尺で一尺は38センチです。センチやメートルを鯨尺に直すときは38で割ります。
電卓でも割り切れないので大体の近似値をとります。
センチで寸法をとるところもありますがやっぱり尺の方が昔ながらの雰囲気がありますよね。

修業時代、京都の寺町京極か新京極通りの真ん中に『はかり屋さん』が一軒ありました。

体重計や秤にものさし・・・ありとあらゆる『はかる道具』が売ってる店なんですね。
ぼくらの商売道具の鯨の巻き尺はその古ぼけた店にしか売ってなかったんです。

店のおじいさんに頼むと奥からほこりだらけの紙の箱を持ってきてくれて、
開けると中に十数個だけ巻き尺が入っていました。

実家に戻ってしばらくして ふっと あのはかり屋を思い出しました。
それで何年かぶりに立ち寄ってみると、なんと『はかり屋さん』がゲームセンターになってたんです!
焦って、その後しばらく大捜索してたんですが、なんとか取り扱っているお店をみつけて
ほっと胸を撫でおろしました。

それでも数は少ないのでみつけたらすぐに買うようにしています。
鯨の巻き尺はホント絶滅危惧種ですよ・・・   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 16:00Comments(0)呉服なぞとふしぎ

茶断ちの荒行?

2010年10月02日

  前夜より たべものは おろか 一滴の お茶さえ口にせず 一心不乱に 彫り上げる・・・

 
 これはヒマラヤの修行僧のはなしでも、苛酷なダイエットメニューでもありません・・・
 実は江戸小紋の型紙を彫る伊勢白子の職人さんのはなしなんです。

 ご存知のように江戸小紋の柄は極小精密ミクロの世界・・・全身全霊をかけて一気呵成に彫り上げないと
 コンマミリ単位の狂いが生じてしまうんだそうです。

 尿意をもよおしてひとたび席でも立とうものなら
 集中力が途切れてその型紙はまた最初から彫りなおさなければならない・・・凄い職人魂です・・・

 とくに縞ものはことのほか繊細・・・「大名筋」「万筋」「毛万筋」「二ツ割り」・・だんだんと細くなります。
 もっとも細い二ツ割りは髪の毛を二ツに割ったくらいの極細・・・一寸(3.8センチ)の間に
 三十一本の縞が入ってます。

 みていると眼がクラクラしてきます。人間技を超えてまさに神業ですね。
 それにしても江戸小紋の極縞は粋だとかいなせだとかの枠を突き抜けて本当に美しい。

 遠目でながめていると白黒の二色しか使ってないはずなのに複雑な薄墨色に刻々と変化するんです。
 細かく織られた織物のように裁ち目や動きの角度でさまざまな質感や表情を醸しだす・・・ 
 染めや織りを超えた不思議な布ですね。

 2003年に縞ものの型紙に欠かせない糸入れ職人であり人間国宝の城ノ口みゑさんが亡くなられました。
 消耗品である型紙が老朽して使えなくなるとき 極縞が静かに姿を消すときなのかもしれません。  

Posted by ふくひろ 若旦那 at 09:35Comments(0)呉服なぞとふしぎ

お召しのはなし

2010年10月01日

記憶が定かでないんですが 日曜 夕方六時半からの「サザエさん」で
おかあさんのフネさんがデパートに『お召し』を買いにいく話がありました。

平成も真っ只中、いったい何人のこどもが『お召し』という言葉
を理解したでしょうか?

『お召し』って何? とよく聞かれるんですが 「紬とちりめんのあいのこ」
と答えたりします。もっと堅くいえば「先練り先染めの二越縮緬」といいます。

紬のように糸の段階で精錬、染色し、右撚り左撚りの糸を二本ずつ引き揃えて
織るからです。紬のようなしゃり感と縮緬のふわっとした柔軟さを合わせ持って
いて着心地は最高です。

たぶん、サザエさん連載時の昭和初頭はお召し全盛で百貨店の呉服売場にもたくさん
のお召しが並んでいたのでしょう。

お召しの縞や縫い取り柄はおしゃれに着ますが無地は礼装着です。

ぼくもお召しの羽織と長着をもっていて、縫い一ツ紋・袴つきで友人の結婚式に出席
したりしています。  

Posted by ふくひろ 若旦那 at 09:33Comments(0)呉服なぞとふしぎ