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反物 くる くる 4 ~おしりを向けちゃダメ・・・!~

2010年12月24日

 反物 くるくる 《丁稚でっちくん》  今日は 《せんぱいくん》のおつかいに出かける日です。

 八百屋さんに行ってニンジンとジャガイモください・・・などというおつかいではありません。

 なんと お客さまのお家にお届けものにうかがう “おつかい” なんです・・!

 うあ たいへんだあ~  だって《丁稚でっちくん》はまだひとりで お客さまのお家に行ったことがないんですよ?

 《丁稚でっちくん》のチキンハートは どっきん どっきん いまにも破裂しそうです。

 朝からなんども歯をみがいて ネクタイは五回もしめ直しました。  さあ いざ、出発です。

 手書きの地図をなんども確かめ 遅刻しないように20分まえから到着して時間を調節しました。

 玄関に立ち おそるおそる呼び鈴を鳴らすと やさしそうな奥さまがあらわれました。

       「どうぞ おあがりください。」

       「ハ・・はい、失礼します・・・。」

 玄関の三和土(たたき)にきちんと靴をそろえ 靴下に穴があいてないコトも確かめました。完璧です。

 《丁稚でっちくん》は長い廊下を渡り りっぱな日本間に通されました。

 《丁稚でっちくん》は キンチョーした面持ちで 奥さまの方を向きながら ゆっくりと

  腰をかがめ その場に正座をしました。コホンと小さく咳きばらい。みちみち なんども

  復唱したあいさつを なるべく渋いトーンで 朗々(ろうろう)と となえ始めました。

       「 いつも 大変 お世話に なっております・・・」

  奥さまは 一瞬 くすっと微笑いました。そして やさしく 《丁稚でっちくん》にささやいたのです・・・。

       「 床の間に おしりを向けちゃいけませんよ・・・ 」

  《丁稚でっちくん》のカオは 恥ずかしさのあまり みるみる 真っ赤になりました・・・。

 
      「は、ハ・・・どうも すみませ~ん・・・!」


 それから 先は しどろもどろ・・・あたふたと 納品をすませ あいさつもそこそこに
 
 どこを どう帰ったかもわからない始末です・・。

 《丁稚でっちくん》は 店に帰っても ひとり ヤキモキ悶々としていましたが しかたなく

 《せんぱいくん》に 事の次第を 打ち明けました。

 おおきなカミナリを落とされると思いきや 《せんぱいくん》は ほお・・と 感心したような

 息をひとつ つき、 《丁稚でっちくん》をまじまじとみて 噛んで含めるようにいいました・・・。

  
      「 ええこと ゆうてもらえたな・・・ お客さんに感謝せえよ・・・ 」

 
 《丁稚でっちくん》は ハトが 豆鉄砲くらったみたいに目をシロクロさせました・・・。

 いままで失敗して怒られたことは数あれど 感謝しろといわれたコトは初めてだったからです・・・。

 それから 《丁稚でっちくん》はお客さまのお家を訪問して部屋に通されたとき まず一番先に

 床の間と お仏壇を さがすようになりました。そして決して おしりを向けないように

 なったのです・・・。

 呉服屋は お客さまから たくさんのことを教わり そして育ててもらうことがとても多いのです。

 だから お客さまには本当に感謝しなくてはいけない・・・ と《せんぱいくん》は いいたかったんですね。

 反物 くる くる 《丁稚でっちくん》  まだまだたいへんなことがおこりそうですね~。

  

 
 



       

 

 

    

Posted by ふくひろ 若旦那 at 07:00Comments(0)反物くるくる でっちくん

総天然色 〈 カラー 〉 の 夢

2010年12月16日

 記憶はあやふやなんですが ぼくが ちいさいころ 低学年向けの学習雑誌・巻末の 

 『なんでもコーナー』 みたいなコラム欄で ゆめ占い、というか ゆめ診断をやってました。

 空を飛ぶ夢をみるひとは パイロットかスチュワーデスに向いてるとか 

 先生に怒られてばかりいる夢をみるひとは 学校の先生になりなさい・・などと他愛のないものでしたが                                                 
 
 そのなかで、 色鮮やかな夢をみるひとは 芸術家になれる (!?)・・・というのがありました。

 色鮮やかな夢・・・?  実は当時のぼくは なんと 色つきの夢を みたことがなかったのです・・!

 うわあああ・・しまったあ~っ ぼくはもう芸術家にはなれない と頭をかかえたのを いまでもおぼえてます。

 そのとき ぼくは こどもなりに推理・分析しました・・・  なぜ 自分は「色つきの夢」をみないのか・・?

 そして ひとつの結論に ・・・  「 もっと カラーテレビを 観なくては・・・! 」

 恥ずかしながら ぼくは子供の時分 毎日、テレビばかり観てました。  テレビっ子のはしりですね。

 当時は すでにカラー放送は 始まっていましたが  再放送の番組は まだモノクロ放送でした・・・。

     「妖怪人間 ベム」 や 「ウルトラマン」 は  カラー放送でしたが

     「風のフジ丸」 や 「狼少年 ケン」 は まだ 白黒放送でした。 

      ふ、   古っ ・・・   トシが バレますね・・・・   (;^-^A

 カラー・白黒 まだら放送の 凄い時代でした。  白黒テレビで観る番組は 当然すべてシロクロなので

 一台しかないカラーテレビの チャンネル権争いに  躍起(やっき)になりましたが、

 そんなことで 芸術家になれる 「色鮮やかな夢」 を 観るはずもなく   現在に至っております・・・。

 いまになって考えてみれば これは 『 色 』を 感じる 感受性の 問題であって  たとえば

 感性ゆたかなひとは  花火をみて 綺麗だ・・と感じれば 豪華絢爛な花火のゆめを  みるでしょうし 

 花見に行けば 春の青空に 映える 桜花爛漫・満開に咲き乱れた桜の ゆめを  みることでしょう。

 これは以前ブログで書いた 「 いろおぼえ 」、 「 記憶色 」 の話とも 通じるんですが、 

 やはり  色の記憶 は曖昧〈あいまい〉 で 色は そうカンタンには憶えられない  ので

 いろあざやかな夢をみるひとは 色を憶える能力、 色の記憶回路が 優れているはずです。

 だから  色つきの夢をみるひとは 芸術家に・・・というのも あながち でたらめでもないのかもしれません・・。

 
 話は急にとびますが   『 七人の侍 』 や 『 椿三十郎 』 の 映画監督 黒澤 明  最後の作品に

  『 まあだだよ 』( ‘93 ) という 渋い 映画が あります。  この映画 ぼく すきなんですねぇ~ 。

 小説家の 内田 百間 ( うちだ ひゃっけん : ホントは 門がまえに  です )と その弟子たちとの

 心の交流をコミカルに描いた 地味~な映画 なんです。  酒豪の 百間先生が  長寿の祝いの席で 

 珍しく 酔いつぶれてしまうんですが そのまま とろとろと まどろんで 幼少時代のかくれんぼのをみるのです。

 その 故郷〈ふるさと〉の 夕焼けの空の色が えっ というくらい  綺麗 、 えもいわれぬ  美しさ・・・! 

 地味に 淡々 と映画が流れてきて  ラストシーンで 極彩色の 夢  が ぱーん と はじけるんです・・・。

 『 夢十夜 』 の 夏目 漱石 の門下生であり  自身も 夢幻的な小説を いくつも執筆した  内田 百間  

 だからこそ あんな ため息の出るような いろ とりどり いろ あざやかな ゆめが 視えるんでしょうねぇ・・・。


 芸術家にはなれなくていいから 来年の初夢こそ 総天然色 〈 カラー 〉 の夢 がみてみたいです~。

   

   
    

  


 

      

 



 

 

   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 18:33Comments(2)色の話いろいろ

雑誌に紅花色見本が引っ付いてるぅ?~70年代なぞのキモノ本

2010年12月10日

 
 実はボク、こどものころから本を読むのが大スキで いつも本屋さんをうろちょろしてました。  

 おとなになっても古本屋さんを散策したり 書棚をながめて 古書を物色するのが
 
 いまだに趣味のひとつですねぇ。ヒマがあれば とりとめもなく 古本屋さんをひやかしてまわって

 るんですが、あるとき ふと一冊の雑誌が目にとまりました。

 『染織と生活』・・・1973年の古い季刊誌、染織家を目指す人の理論と実践

 ・・・かなり専門的な研究書ですね・・第二号・特集 紅花染と書いてます。

 




 ぱらぱらっとめくっていて えええ~っとおどろきました・・・

 なんと 雑誌なのに 3cm四方の色見本らしきものが 貼り付けてあるんですっ

 しかも鮮やかな紅色・・・これ・・紅花染め~っ!?・・・正絹生地に草木染めですかああ?

 




 八掛〈はっかけ〉などの色の見本帳などは実際に色見本がくっつけられていますが、こんな全国発売の

 雑誌で色見本・貼り付け・・・しかも科学染料ならぬ ガチガチの天然染料・紅花染めですよ~?!

 当時、出版社編集部で一冊、一冊、チョキチョキ、ペタペタ 貼り付けたんでしょうか?

 なんというか 凄い熱意ですっ・・・!    裏表紙も気合入ってます・・・!

 




 「べに一覧」という明治5年の古文書、紅花染めの当時の工程図ですね・・・・ 資料価値・絶大です・・・。

 紅花紬といえば ジブリの 『おもいで ぽろぽろ』ってアニメ映画がありましたよね?

 主人公の女の子が山形県の農家にたどり着いて そこで紅花を栽培するはなしでした。

 映画のなかで ちくちく痛い紅花を摘んで 紅花餅という紅色のつぶした団子みたいなものをつくります。 

 紅花餅は紅花の花弁を発酵させて 臼(うす)でついて絞って練りあげる紅花染めの原料なんです。

 ボクはキモノの世界に入りたてのころ 紅花餅を山形名産の和菓子と思い込んでました・・はっ恥ずかしい・・・

 ともかく この『染織と生活』のマニアックぶりは尋常ではありません。紅花の歴史、江戸時代の 

 生産高・流通・古文献・・・手法・工程・科学的考証などなど 空前絶後の決定版でしょう。

 



これは 『染織と生活』 創刊号です。古本屋さんでバックナンバーをみかけては いそいそと買い集めてます。

 









    『染織と生活』は いまやボクにとって 趣味と実益をかねた 呉服聖書《バイブル》です・・・! 

  

 

   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 18:21Comments(2)めずらしキモノ本

告白 ・・・ 実は “ 防寒インナー ” 着てました・・・!

2010年12月03日

 木枯らしが舞って すっかり寒くなっちゃいましたね・・・。キモノって温かいといっても 

 く~っ、 さ、さむい・・という日もふえてきました・・・。

 呉服屋として またまた怒られちゃうかもしれませんが・・・告白します・・・・

 じ、実は ボク いつも キモノの下に 保温吸湿発熱・防寒機能のインナー肌着・・・

 いわゆる、 ヒートテック系の肌着とタイツ、着ていたんです・・・!

 本来なら 肌着・ステテコ・長襦袢・長着・・・と着込んでいくのが 正道だと思いますが

 生来の寒がりゆえ いつしか邪道へと足を踏み外してしまいました・・・。

 黒足袋を履いて 黒のインナー下着を着ると まるで むかしのとんねるずのコントみたいです。

 当然 丸首は襟元から見えてしまうのでN・G、やはりVネックです。

 ただし ユニクロのヒートテックは Vネックの繰りが浅いです。 

 ライト-オンのエクストラサーモの方がVネックの繰りが深く、襟元から見えにくい・・キモノ向き

 だと思いました。なんだかいろいろと比較研究してるみたいに聞こえますが 実はそそっかしく

 丸首、Vネック、まちがって買い損ねた結果なんです・・。

 下の黒タイツ、これがまた裾さばきがいいんですねぇ~。まとわりつかず軽快に動けます。

 黒インナーの上から すぐに半襦袢・・・晒(さらし)の胴に半襟と襦袢袖を縫いつけたもの・・・

 いわゆる 『 うそつき 』 を着込み そしてはやくも もう長着を着ます。

 申し訳ないんですけど これがカンタン・速いんですねぇ・・・。なにより暖かいし・・・。

 呉服屋としてはホメラレタもんじゃありませんが キモノをカンタンに着て より身近にするという

 意味では 「あり」なのかなと・・・。女性のかたはどうなんでしょうか?防寒インナー・・・。

 冷え性のかたも多いと思うので やはり「有効」ですか? それとも「NG」?

           また ご意見 お聞かせ願えたら嬉しいです。m(^ー^)m 

 

   

 

     

Posted by ふくひろ 若旦那 at 00:00Comments(3)いまどきのキモノ

禁断の男ものワールド2~男の羽織紐こわい~

2010年12月01日

 「饅頭こわい」という落語がありますが 若輩呉服屋のボクにしてみれば「男の羽織紐こわい」。

 男の羽織紐を結ぶのが苦手な時期がありましたね~。だって けっこうムズカシイんですもん。

 とくに「直付け(じかづけ)」・・! 金具のS字環で引っ掛ける結び切りの羽織紐じゃなく
 
 羽織の乳(ち)に直(じか)に結びつけている少し長めの羽織紐。丸ぐけの紐なら、二本、

 引き揃えて くるっと輪をつくり その中に しっぽを落とし込むだけでいいんですが、

 問題は平組み。片方一本だけで輪をつくり、しっぽを半分だけ落としこんで もう片方を外から

 大回りに巻くように重ねて しっぽを合わせて落とし込みます。慣れればカンタンなんですが

 案外ムヅカしく 羽織をはおってトホーに暮れることシバシバです。そのかわり 脱ぐときは

 房(ふさ)を上にびゅーんと引っ張れば はらりとほどけて ちょっといなせです。

 落語家のひとが高座で 噺(はなし)の合い間に羽織を脱ぐときがありますよね?

 これは 「だるま(羽織)を引く」といって 噺の枕(まくら)が終わり本題に入るきっかけ

 だったり 裏方さんとの時間調整のサインだったりするそうなんですが このとき 落語家が

 ちくちく S字環をはずしていたら やっぱりサマにならないです。直付けの紐をはらりと

 ほどく姿が絵になります。

 だけど 若輩呉服屋にとって結び切りの環つき羽織紐がラクかといえばそうでもないです。

 あるとき お客さまの家にお伺いしたときに不意に頼まれました。

 「羽織紐、ほどけちゃったのよ 結んでくれない?」なんでせっかく結んでいる紐ほどいちゃうの~?

 と心のなかでぼやきながらも ハイハイ、どうでしたっけ?と紐をいじくってると           
 ハっと感じる熱い視線・・!カオをあげるとお客さまの目がらんらん・・・

 結び方をいま覚えてしまおうというんですね。キンチョーするのはボクです。             
 汗みどろ悪戦苦闘四苦八苦でした。





 これが通常の結び方です。もうひとつ 組紐の老舗 渡敬の重鎮 Kさんから伝授されたボクが

 勝手に「渡敬巻き」とよんでいる結び方を紹介します。どこがちがうかわかりますか?

 



 通常版は左右対称なんですが 渡敬巻きは不対称ですね、いびつです。ただ 正面の横一文字の

 「おび」?が通常版は裏を向いてますが 渡敬巻きはナナメになりながらも おもてを向いてます。

 表裏一体の紐なら問題ないですが 織りや色が表裏ちがう紐の場合 渡敬巻きの方がいいのでは?

 チョッと首をかしげたようなかたちもどこかカッチョいいです。

 結び方はけっこう ややこしいので 興味のあるかたはお店で個別にお教えします。(^^)







 
   

Posted by ふくひろ 若旦那 at 00:00Comments(0)禁断の男ものワールド