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やまどりの尾の しだり尾の… 腰原友禅 多々羅鉄(たたらてつ)異聞

2016年09月24日

あしひきの やまどりの尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む 【柿本人麿】

先日の花のお江戸のキモノ三昧で訪問した腰原淳策先生の会で見初めた新作がふくひろにやってきました!「雉(やまどり)と野葡萄」氷割(ひわ)れの塩瀬、鮮やかな秋葡萄の実。そして生命感溢れる雉(やまどり)… 鳥の表情をこれほどまでに見事に活写した染め帯など早々あるものではありません。

前述の百人一首の和歌はフェイスブックでお客さまに教えていただきました。島根県 奥出雲の多々羅鉄(たたらてつ)作りに由来する名歌だそうです。「あしひき」は疲れて脚が棒のようになることで長い夜と懸けた詞(ことば)です。やまどりの長く枝垂(しだ)れた尾と秋の夜長、それに奥出雲に昔から伝わる多々羅の鉄作りを掛け合わせた歌なのです。

この北九州もご存じの通り「鉄」で栄えた町です。腰原先生の会でなぜかこのやまどりと眼が合いました。わざわざ関門橋を越えてやってきた雉(やまどり)。なんとも不思議なご縁を感じます。

秋に萌える櫻爛漫。あまりの見事さに春に魁(さきが)けてふくひろ着物屋敷へやって参りました。

腰原先生の黒はエメラルドグリーンを下地に引いた複雑で深みある「黒」です。え?これが前腹か?!と思わず叫んでしまうほどの染めのボリューム、友禅の豊潤さです。

このやまどりの帯は腰原英吾さんの奥さま、腰原信子さんの作品です。女性的な繊細さのなかにも凛とした気品と芯のある強さを秘めた作品です。

やまどりの雄と雌は谷をへだてて夜を過ごす鳥だと云われています。
柿本人麿の和歌は愛しいひとを恋いこがれる恋慕の歌でもあるのです。
雉(やまどり)や 秋の夜長に 何想う

  

Posted by ふくひろ 若旦那 at 13:31Comments(0)『 キモノびと 』 探訪