反物 くる くる 5 〜でっちくん はじめて店頭に立つ!〜 

2011年04月09日

   反物 くるくる でっちくん。  今日は でっちくん が 生まれてはじめて 店頭に立つ日 なのです。

   朝から キンチョーのあまり でっちくんの チキンハートは どっきんっ どっきんっ いまにも破裂しそうです。

   おみせの ショーウィンドウを お客さまが みておられます。   でっちくんは オリの中のくまの ように 
   
   あっちこっち ウロウロしていましたが  まさに 決死の覚悟を決めて  ついに お客さまに 声をかけました・・・!

   
       い っ・・・  い ら っ し ゃ い ま せ ぇぇぇ 〜・・・ !!

   眼を血走らせ 噛み付かんばかりの でっちくんの気迫にびっくりして お客さまは あわてて立ち去っていきました。

   ぽかん・・・ とひとり 取り残される でっちくん。    そりゃあ お客さま  ビックリ しますよねぇ〜・・・。

  あっ 次の お客さまです。  でっちくん こんどは ソフトに そして やや 親しげに 話しかけました・・・。

     いやあ〜・・・  今日は いい 天気 ですねえ ・・・ 

  はァ・・ と 白い眼で お客さまは 向こうへ 行ってしまいました。またも ぽかんと ひとり取り残されるでっちくん。

  ムリも ありません。  だって 空は シトシト 雨模様 なんですから・・・。 でっちくん 余裕なさすぎ です〜。

  三人目のお客さまがウィンドウを見てます。でっちくん 意気込んでいくと お客さまの方から 訊(たず)ねてきました。

  「 このキモノは 何歳ぐらいまで 着れるのかしら? 」    「 っっっ ・・・ ??? 」

  みるみる カオが 真っ赤になる でっちくん。   あわてて 店の奥へ 逃げ込んでしまいました。 

  こんどは お客さまが ぽかんと ひとり取り残される始末・・・。 新米・ペーペーのでっちくんに答えようがありません。

  だって でっちくん  まだまだ キモノのキの字もわかってないんですから〜。 うーん、 困ったもんですねぇ〜。

  こんなとき たよりになるのが やはり せんぱいくん です。 でっちくん 半ベソカキカキ せんぱいくんに訴えました。

  「  お客さんとぉ〜  まともにハナシもできないしぃ〜    キモノのことも  さーっぱり  わかんないしぃ〜

    一体 どーしたら いーんですかあ・・・!? 」  でっちくん くってかかって 涙・鼻汁 スゴイ剣幕です・・・。

   相談に押しかけられて その上 逆ギレされてたら たまったもんじゃないですが まあまあとなだめるせんぱいくん。

   「 オレやお前みたいな若いのが とってつけたような世間話 したって 誰も 聞いちゃくれんよ・・・。 」

   「 だったら 何のハナシ するんですかあ? ボクは もともと ハナシするの 大の苦手なんですよお?

    そんなに ハナシ得意だったら とっくのむかしに 落語家に弟子入りしてますよぉ〜 ! 」

   「 ・・・お客さんは キモノを 見にきてんだから やっぱ キモノの ハナシを しなきゃあ・・・。 」

   「 イイ ・・・  だから それは ボクには ムリだって いってんじゃないですかぁ〜 ! 」

   「 アホゥ ! いま ウィンドウ に キモノと帯 どんだけだしとるんや ?! かぞえてみい ! 」

   「 は ハイィ・・・ ひぃ ふう みぃ のぉ ・・・ ご、五点 ですぅ〜。 」

   「 ええか? この五点の商品の名称・種類・季節・産地・セールスポイントその他モロモロをノートにかきだすんや!

     そいで 今日中に 丸暗記するんや!   陳列変わるたんび なんべんも 、なんべんもやぞ ・・・! 」

   「   いいぃ・・・ なっ・・・なんべんもぉ ですかあぁぁ・・・? 」 

   「 当たり前や!  お前の 一生分の 宿題じゃ〜 ! わかったかぁ・・・! 」 「 ハイ〜・・・! 」


          まさに    門前の小僧  習(なら)わぬ  経(きょう) を 読む  ・・・・

   
    でっちくんの 一夜漬け・付け刃(つけやいば)の  心もとない知識 なれど   だんだんと お客さまと 話が 

    してもらえるようになりました。返答に窮(きゅう)して 店の奥に逃げ込むコトも 相変わらずではありますが・・・。

         それでも 幾度(いくたび)と  ウィンドウの彩(いろど)り  が移りゆくごとに 

         でっちくんのキモノの話も  少しずつ、 少しずつ  深みを増してゆくことでしょう・・・。 

                呉服屋さんは いくつになっても  勉強です。 

         でっちくんならずとも  一生分の宿題 を 楽しく やっていきたいものです。 


         反物 くる くる でっちくん  。   まだ まだ  先は 長いですよぉ~・・・。


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Posted by ふくひろ 若旦那 at 18:00│Comments(2)反物くるくる でっちくん
この記事へのコメント
じゅんじゅんです

チュートリアル徳井君がNHKでいうことには
いっぺんに7本の漫才の台本を 自分は渡すが 
福田君は覚えられる 記憶力がいいですね彼は

なるほど~ 漫才に必要な才能は 台本書く能力や おしゃべりの能力も大事だが 記憶力が縁の下の力持ち してるんですねえ
Posted by massan&junjunmassan&junjun at 2011年04月11日 18:32
じゅんじゅんさま 呉服屋の新米でっちくんとお客様の関係というのは不思議な関係だと思います。年端もいかない若造が キモノの達人の方々とキモノの話をするんですから… お客様が 相当な忍耐と 広い慈愛の気持ちを持ってもらわないと 会話が成立しません… お客様との会話から 少しずつキモノの勉強ができるんですねぇ。ホントにお客様は神様です m(__)m
Posted by ふくひろ若旦那 at 2011年04月11日 20:43
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