反物 くる くる 8 でっちくん 美術館 に行く の巻
2012年08月18日
反物 くる くる でっちくん 今日は大番頭さんに連れられて 郊外の美術館へ やってきました。
ちょっとした社外研修といったところです。いつもの雑用から開放されて でっちくん 心晴れ晴れ日本晴れです。
館内には 数多くの彩り鮮やかな絵画が陳列展示されています。およそこういう世界とは無縁だった でっちくん、
わかったようなふりをして 絵の前でわざとらしい嘆息 ちょっと気取って ひとり うなずいてますよぉ?大丈夫?
そのとき ぽかりっ あいたたた 。。。頭をさすって振り向くでっちくん。大番頭さんのゲンコツです。
「 お前 何しとんねん ? 」
「 なっ 何って 芸術鑑賞に決まってるじゃないですかぁ? 」
「 おまはんごときが ゲージツ なんざ 十年早いわっ !! 」
大番頭さんのしゃがれたドラ声に感電ビリビリ~ でっちくんのチキンハートは どっきん どっきん 破裂寸前です。
「 展覧会なんてもん、わしら呉服屋は 駆け足で見るもんや、 ちんたらしとったらあかんど? 」
大番頭さんは でっちくんの首をぐいいと掻き抱くと しゃがれたドラ声で でっちくんの耳元にささやきました。
「 ええか? 一番大事なんは“ 色 ”やっ! 色の感覚を磨くんや、 色を 眼ぇに焼き付けて憶えていくんや。。。
“ 色 ” はなかなか 記憶(おぼ)えられんからのぅ・・・ 今日はその特訓にココへ連れて来たんやど・・・? 」
「 ひえええ~ 」 眼を白黒させる でっちくん。 でっちくん 大番頭さんには “ 絶対服従 ” なのです。
「わかったら とっとと 行って来いっ!」 あたふたとよろめく でっちくんの背中に大番頭さんのドラ声が響きます。
「 さいごに一番好きな絵を見つけてこい、ええかぁ?一枚だけやどぉ? 」
破顔一笑、 ニッコリと笑う 大番頭さん ・・・
「 その絵が好きやぁ~ゆう気持ち忘れんなよ。それが一番大事なんや・・・ 」
“色” はなかなか記憶できません。憶えていると思っていても記憶と実際の色が違ってた!なんてことはしばしば。
即断即決ワンアイラブ(ひとめ惚れ)・・・瞬間で即応して良い色を選んでゆくというのも非常に難しいものなのです。
大番頭さんと でっちくんの珍妙な特訓が のちのち呉服の仕事に役に立ったかどうかは さだかではありません。
ただ でっちくんが まだまだゆっくり絵を鑑賞する余裕など ないことだけは確かみたいですねぇ・・・ (^ー^;)
反物 くる くる でっちくん 呉服の道は まだまだ険しいですよぉ~
Posted by ふくひろ 若旦那 at 19:02│Comments(0)
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