真・琉球藍型(えーがた) 十数年ぶりに邂逅す!
氷雨降る二月の京都キモノ紀行 ありがたき僥倖
越後上布に囲まれる 珍しき琉球染織とめぐりあう
山下芙美子さんの本場黄八丈をお召しの女性に会いました。斬新な裁ち合わせのお仕立てが素敵です。
山下芙美子先生に別注したら今まで見たことがない素晴らしい作品が織り上がってきたのだそうです。
壮観!全国伝統染織が見事一堂に集結しています。数年前から社長が趣味的にそして意欲的に蒐集してきた稀少織物シリーズが数を揃えついに実を結び花開こうとしています。まさに伝統染織 夢の宴です。
石垣島の秘宝 川平(かびら)織。深石美穂さんの作品は石垣の自然の如く鮮やかな色彩に満ちています。
八重山上布も今や絶滅危惧織物。失ってはならない日本の宝です。着尺は殊に数少なくなっています。
作品展の片隅を眺めていて 思わず あっと声を上げました!黒き琉球藍 … 藍型(えーがた) …
まさか 十数年ぶりにこの京都で出会えるなんて …
青い染料を使った琉球紅型をすべて藍型と表記している場合があります。これは青い顔料を手で刷り込み染めしたれっきとした琉球紅型ではありますが、厳密にいえば真の藍型(えーがた)ではありません。いわゆる染地型(しるじがた)とよばれるものです。
真の琉球藍型とは琉球藍の藍甕に浸染を繰り返しながら琉球藍の濃淡でその作品世界を創り出すものです。天然琉球藍染めは藍甕に漬けて引き上げて空気に触れて初めて発色する琉球ブルーなのですから。
過去に遡るとふくひろにも二反だけ「真・琉球藍型」がありました。父が沖縄へ赴き琉球展を催したときです。かれこれ十数年以上前だと思います。
そのとき以来 染地型の青い紅型は見かけましたが不思議なことに琉球藍に浸染を繰り返す真の琉球藍型はまず出会ったことがありませんでした。
琉球藍を生成する制作工程プロセスがやはりかなりの手間であり型紙からして別の創作サイクルが必要とされるからではないでしょうか。
紅型を顔料で「手染め」するという作業と藍型を何度も藍甕に「漬けて染める」という作業はまったく異なるベクトルの染織工芸のように僕は感じます。
琉球藍 甕覗(かめのぞ)きの青は見ていると吸い込まれてしまいそうな深く深淵なブラックブルーです。
琉球藍は喜如嘉芭蕉布の絣糸を構成する琉球の魂であり、神奈川県横須賀市にて琉球泥藍天然発酵建てを実現している原始布作家 西川はるえ さんの作品世界を形成する重要なモチーフなのです。
琉球藍の濃淡だけで染められた藍型はその延長線上にあり琉球の魂の源流であるといえるでしょう。
十数年ぶりに 「真・琉球藍型(えーがた)」 が
ふくひろ綺物屋敷へやって来ます。
京都如月 ありがたき 綺物の恵み に感謝致します。
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