反物 くる くる でっちくん 梅雨入りをひかえ 店頭にも 夏の帯や着物が並びはじめました。
でっちくん 呉服店の雰囲気にも少しずつ慣れ お客さまの応対も なかなかサマになってきました。
・・・・・。 とりあえず み、 みかけは・・・ですねえ
え・・・ (^~^;)A
あっ お客さまです。 「 いらっしゃいませ・・・。」 おおっ でっちくん 堂々としています・・・!
よくぞ この短期間に これだけの風格と気品を・・・。 口元には ちいさな笑みさえ たたえています・・。
お客さまは 盛夏のなごやおびを お探しのようです。生成りの名古屋帯を差して でっちくんにたずねました。
「 これは、
麻(あさ) ですか? 」
「 はいっ そうです。 」
素晴らしいっっ
即答 ですっ! お客さまは となりの やはり生成りの名古屋帯を手にしました。
「 これも、
麻(あさ) ですか? 」
「 はいっ そうです。 」
血相をかえて 店の奥から せんぱいくん が あわてて 駆け込んできました!
「 す、すみませんっ それは
麻(あさ) ではなく
絹(きぬ) です! 」
えええ~ と お客さまとでっちくん ふたりそろって ビックリ仰天 です。
狼狽しながらも必死で体勢を立て直そうとする でっちくん。ブレイクポイント一歩手前、まだ挽回の余地アリ?
「 あははは なにいってんですか
ア~ こ~んな
バリバリの正絹が あるわけないでっしょ? 」
でっちくんの口元にたたえた小さな笑みも もはや ヒキツッて
バリバリです。
「 いやいや これはだなあ
生紬(なまつむぎ) といって 涼感をだすために わざと
絹糸に ざっくりとした風合いを残して 織ってるんだ。 麻じゃなく れっきとした絹なんだ・・。」
非情な せんぱいくんの裁定に ブレイクどころか もはや 木っ端微塵《コッパミジン》 の でっちくんです。
「 な~にいってんですか なまつむぎなんて きいたこと ないですよォ~
なんなんですかあ なまむぎなまごめなまつむぎ ですかあ~!? 」
赤面・泣きベソ・パニクッて ついに 馬脚をあらわした でっちくん。 呉服の道は まだまだ険しいですよオ~・・・