反物 くる くる 6 ~なまむぎ・なまごめ・なまつむぎ~

ふくひろ 若旦那

2011年06月05日 13:10

   反物 くる くる でっちくん  梅雨入りをひかえ 店頭にも 夏の帯や着物が並びはじめました。   

   でっちくん 呉服店の雰囲気にも少しずつ慣れ お客さまの応対も なかなかサマになってきました。   

       ・・・・・。        とりあえず  み、 みかけは・・・ですねえ・・・  (^~^;)A

   あっ お客さまです。  「 いらっしゃいませ・・・。」  おおっ でっちくん 堂々としています・・・!

   よくぞ この短期間に これだけの風格と気品を・・・。 口元には ちいさな笑みさえ たたえています・・。 

   お客さまは 盛夏のなごやおびを お探しのようです。生成りの名古屋帯を差して でっちくんにたずねました。

      「 これは、麻(あさ) ですか? 」      「 はいっ そうです。 」

   素晴らしいっっ   即答 ですっ!  お客さまは となりの やはり生成りの名古屋帯を手にしました。

      「 これも、麻(あさ) ですか? 」       「 はいっ そうです。 」

      血相をかえて 店の奥から せんぱいくん が あわてて 駆け込んできました! 

       「  す、すみませんっ それは 麻(あさ) ではなく 絹(きぬ) です! 」

      えええ~ と   お客さまとでっちくん ふたりそろって ビックリ仰天 です。

    狼狽しながらも必死で体勢を立て直そうとする でっちくん。ブレイクポイント一歩手前、まだ挽回の余地アリ?

       「 あははは  なにいってんですか~  こ~んなバリバリの正絹が あるわけないでっしょ? 」

        でっちくんの口元にたたえた小さな笑みも もはや ヒキツッて バリバリです。

       「 いやいや これはだなあ 生紬(なまつむぎ) といって 涼感をだすために わざと 

         絹糸に ざっくりとした風合いを残して 織ってるんだ。  麻じゃなく れっきとした絹なんだ・・。」

     
    非情な せんぱいくんの裁定に ブレイクどころか もはや 木っ端微塵《コッパミジン》 の でっちくんです。     
          
     「 な~にいってんですか なまつむぎなんて きいたこと ないですよォ~  

    なんなんですかあ  なまむぎなまごめなまつむぎ ですかあ~!? 」

  
  赤面・泣きベソ・パニクッて ついに 馬脚をあらわした でっちくん。  呉服の道は まだまだ険しいですよオ~・・・

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