『色』、憶(おぼ)えてますか?

2010年10月14日

 
 ひさしぶりに 箪笥から 着物を 出して たとう紙を 開けると・・・
 
 「あれっ このキモノ、こんな色だったっけ?」
 
 こんなことってないですか? 大体は合ってはいるんだけれども 思ってたより
 濃いかったり 淡かったり 青みがかっていたり・・・

  実は 色の記憶って けっこう 曖昧(あいまい)なもの なんです。

 これは 専門のカラーコーディネーターの先生に お聞きしたのですが
 人間の「記憶色」は 若干 鮮やかになるそうです。たとえば 桜見にでかけて
 お家で思い浮かべる桜の色は 実際の 淡い白ピンクよりも 鮮明なピンクに
 変化するそうです。(個人差や年齢差はありますが)

 ぼくは ものおぼえもわるいんですが やっぱり 「いろおぼえ」もわるくて
 注文をいただいたとき 必ず 色見本か写真、雑誌を持っていくようにしています。
 そうしないと どうしても 色が ブレてしまうので。
 すこしでも「いろおぼえ」がよくなりたいなァと思うときもあったんですが・・・              
 
 あるとき ぼくの修業仲間の友人の紹介で 京都梅小路の染め工場に遊びにいきました。
 そこの社長はまだ若いんですが、仕事に誇りと情熱をもった男前。しかも気さくで、
 明るく 話してて ムチャクチャ面白いんです。
 染めの小紋を「製造」するための「秘密兵器」がたくさんあって みていてホントに
 飽きない。いろいろ探検させてもらっているとふと、小さな部屋をみつけました。
 
 内部は雑然としていて 大量の染料缶が並べられ 壁のすき間というすき間に
 細かい走り書きのメモ用紙がたくさん貼られていました。
 
 その紙片は いうなれば『色のレシピ』・・・◎△番のグリーン何gに◇#番のグレー
 何g・・・というように こと細かくびっしりと まるで化学式のように書き込まれて
 いたんです。色に対する執着・・職人の凄みを感じました。

 その染料調合室 ~色の科学研究所~ で呆然と立ち竦んでいると うしろから
 社長が わははは と笑いかけました。

 「 色なんて そんな おぼえられへんやん 」
 
 ・・・そう、『色』はそう かんたんには 憶えられないんです。
 「いろおぼえ」のよくないぼくはやっぱり色見本を持って歩くしかないみたいです。

 

 

 

 


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Posted by ふくひろ 若旦那 at 17:04│Comments(0)色の話いろいろ
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