前代未聞!越後上布 新作展 ~ 伝統織物たちとの出会い PART1 ~
2018年02月05日
新潟県魚沼市から来られた織師 高波明美 さんが手織りする越後上布。いまや稀少織物である越後上布が地機で織り上げられてゆく様子を実際に目の当たりにするのは僕自身初めての体験かもしれません。
氷雨降る二月の京都。重要無形文化財 越後上布
だけを蒐集(あつ)めた新作発表展が催されました。
八寸名古屋帯 九寸名古屋帯 角帯 そして着尺…
これは賞賛に値する本当に大変な偉業なのです。
越後上布の原料である苧麻(からむし)は福島県昭和村で栽培されています。天然麻繊維の最高峰です。
夏場に2mに成長したからむしは刈り取られ水漬け皮剝され「苧引(おひ)き」されて繊維となります。
苧引きによって薄く引き出された繊維は青白く光るので「青苧(あおそ)」と呼ばれます。出来映えの良い青苧を昭和村では『"きら”がよい』といいます。
青苧は客間の座敷に丁寧に干されます。青苧はそれほど昔から大事に扱われてきたのです。これは会場にわざわざお持ちくださった青苧干しの一房です。
麻繊維を繋げて一本の糸にすることを麻を「績(う)む」といいます。口にくわえ湿らせながら爪で繊維に裂け目を入れ通して撚(よ)りをかけ少しづつ繋いでゆきます。雪国の気の遠くなるような作業です。
糸作り。苧績みした糸を綺麗に均一にならします。越後上布は機にかけるまでが本当に大変なのです。
重要無形文化財である越後上布の絣は全て手括(くく)りによるものです。絣の墨付けは新潟独特の技法である木羽定規(こばじょうぎ)が用いられます。
越後上布の特徴といえばこの日本古来の原始機である地機(いざり機)を使って織っていることでしょう。現在 地機を仕様している伝統織物は本場結城紬と北海道アッシ織等一部の原始布だけなのです。
地機の杼(ひ)は刀杼(とうじょ)といってブーメランのように大きなものです。杼は緯糸(よこいと)を繰り出すものです。織機は筬(おさ)でトントンと織り目を打ち込みますが長い刀杼でもさらにもういちど打ち込みます。「地機の二度打ち」といわれるもので打ち込みのしっかりした織物が織り上がります。
地機は反端を織り師の腰当てに結わえ腰で経(たて)糸の緩みを調整しながら織ってゆきます。原始的な機ですが切れやすい麻糸を織るには最も合理的な織り方です。まさに「人機一体」の織物なのです。
越後上布の新作が着尺から帯までこれだけ一堂に揃うことは前代未聞です!主催者に敬意を表します。
越後上布の男角帯 これもまた世に出ない珍しき綺物。盛夏はもちろん万節でも良さげに思いました。
越後上布 八寸名古屋帯 『黒地 緑白縞』
今回の出品作の中で最も先鋭的で斬新シャープな逸品を選ばせてもらいました。こんな越後上布は見たことがありません。ふくひろ綺物 coming soon!
越後上布の機織りは乾燥が一番の大敵です。雪深い機織り部屋では暖房も点けず手織りに精を出すそうです。窓の外でしんしんと降り積もる雪が糸にちょうど良い湿気をもたらすのだそうです。京都会場での越後上布の実演も織り目を丁寧に濡らしながら織ってゆく高波明美さんの姿がとても印象的でした。
氷雨降る二月の京都で出会った大切な伝統織物たち
次回続篇 PART2 へと続きます(´-`).。oO
氷雨降る二月の京都。重要無形文化財 越後上布
だけを蒐集(あつ)めた新作発表展が催されました。
八寸名古屋帯 九寸名古屋帯 角帯 そして着尺…
これは賞賛に値する本当に大変な偉業なのです。
越後上布の原料である苧麻(からむし)は福島県昭和村で栽培されています。天然麻繊維の最高峰です。
夏場に2mに成長したからむしは刈り取られ水漬け皮剝され「苧引(おひ)き」されて繊維となります。
苧引きによって薄く引き出された繊維は青白く光るので「青苧(あおそ)」と呼ばれます。出来映えの良い青苧を昭和村では『"きら”がよい』といいます。
青苧は客間の座敷に丁寧に干されます。青苧はそれほど昔から大事に扱われてきたのです。これは会場にわざわざお持ちくださった青苧干しの一房です。
麻繊維を繋げて一本の糸にすることを麻を「績(う)む」といいます。口にくわえ湿らせながら爪で繊維に裂け目を入れ通して撚(よ)りをかけ少しづつ繋いでゆきます。雪国の気の遠くなるような作業です。
糸作り。苧績みした糸を綺麗に均一にならします。越後上布は機にかけるまでが本当に大変なのです。
重要無形文化財である越後上布の絣は全て手括(くく)りによるものです。絣の墨付けは新潟独特の技法である木羽定規(こばじょうぎ)が用いられます。
越後上布の特徴といえばこの日本古来の原始機である地機(いざり機)を使って織っていることでしょう。現在 地機を仕様している伝統織物は本場結城紬と北海道アッシ織等一部の原始布だけなのです。
地機の杼(ひ)は刀杼(とうじょ)といってブーメランのように大きなものです。杼は緯糸(よこいと)を繰り出すものです。織機は筬(おさ)でトントンと織り目を打ち込みますが長い刀杼でもさらにもういちど打ち込みます。「地機の二度打ち」といわれるもので打ち込みのしっかりした織物が織り上がります。
地機は反端を織り師の腰当てに結わえ腰で経(たて)糸の緩みを調整しながら織ってゆきます。原始的な機ですが切れやすい麻糸を織るには最も合理的な織り方です。まさに「人機一体」の織物なのです。
越後上布の新作が着尺から帯までこれだけ一堂に揃うことは前代未聞です!主催者に敬意を表します。
越後上布の男角帯 これもまた世に出ない珍しき綺物。盛夏はもちろん万節でも良さげに思いました。
越後上布 八寸名古屋帯 『黒地 緑白縞』
今回の出品作の中で最も先鋭的で斬新シャープな逸品を選ばせてもらいました。こんな越後上布は見たことがありません。ふくひろ綺物 coming soon!
越後上布の機織りは乾燥が一番の大敵です。雪深い機織り部屋では暖房も点けず手織りに精を出すそうです。窓の外でしんしんと降り積もる雪が糸にちょうど良い湿気をもたらすのだそうです。京都会場での越後上布の実演も織り目を丁寧に濡らしながら織ってゆく高波明美さんの姿がとても印象的でした。
氷雨降る二月の京都で出会った大切な伝統織物たち
次回続篇 PART2 へと続きます(´-`).。oO